厚生労働省が推奨する「日々紹介」の経緯と問題点【№5】

◆昨夏に打ち出された「日々紹介システム」
 そもそも「日々紹介」の発端は、昨夏、与党が日雇い派遣原則禁止を盛り込んだ「労働者派遣法改正案」を検討していた段階で打ち出され、「日雇い紹介システム」構築の方針を公表(08/8/2)したという経緯です。即ち、当該段階における厚労省検討の同システムは、PCや携帯電話のEメールアドレスを登録した人に日雇いアルバイトの仕事内容・処遇・連絡先等の求人情報を毎日メール送信する仕組みで、既存の「しごと情報ネット」を改良して運用するという求人情報だけの提供です。これで「企業が直接雇用するため、雇用責任が明確になる」と考えられたのです。
 但し、昨年11月に閣議決定された同法「改正案」※1)で、事業規制強化の一環として「日雇い派遣の原則禁止」が打ち出されましたが、《雇用の安定を図るため、公共職業安定所又は職業紹介事業者の行う職業紹介の充実等必要な措置を講ずる》という内容にとどまり、「日々紹介」については明記されていません。
◆問題点は残されたまま
 この「日々紹介(案)」に拍車を掛けたのは、《日本人材紹介事業協会主催の東日本ブロック会(08/9/2)において、東京労働局需給調整事業部長が「職業紹介事業を取り巻く状況と課題」と題する講演》※2)を行ったのが契機となったようです。業界専門誌の取材に対し、《「紹介を受けた雇用主には雇用責任をきちんと果たしてもらうことが必要である」》と述べられていますが、実際に《日雇い派遣から日々紹介に移行した場合》の問題点は、すでに当ブログ記事※2)でご紹介したとおりです。
 それは「日々紹介」への移行により、即日すべての手続きの完結の必要に迫られることや、それに伴う手続き処理の時間及び人件費負担等が問題になるというのみならず、根本的な問題点として、「雇用主」が即ち「使用者」であり「求人者」でもある点ですべての責任を負うこととなり、翻って、紹介会社が“無責任紹介会社”と化すことが最も懸念されるからです。すでに「日々紹介」の動きは始まっているようですので注視しなければなりません。
※1)『労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律等の一部を改正する法律案概要(平成20年11月4日付)』厚生労働省職業安定局公表資料。
※3)当ブログ記事(09/6/11日付):「日雇い(軽作業・スポット・短期)派遣から“日々紹介(日雇い紹介)”の使用者の問題点とは【№3】」ご参照。
参考:※2)『月刊人材ビジネス10月号(2008年。第23巻第10号通巻267号)』:(株)オピニオン。