“派遣社員の労災急増”とする一部マスコミ報道について

◆派遣急増の背景を踏まえて
 5月27日付の一部マスコミ報道で派遣会社を“悪人”とした記事が掲載されました。なぜなら、このニュース報道を見た世間一般の人々に対して、“やはり派遣だから”とか“だから派遣はダメ”等との先入観を与え兼ねないからです。つまり、派遣労働現場の実態は、07年に起きた「偽装請負」に対する厚生労働省指導で「請負⇒派遣」への切替えが進展し、その結果、派遣労働者の急増に伴い、請負会社の労災が派遣会社の労災に変わったに過ぎません。このような影響があった事実を無視し、単に派遣会社を“悪人”に位置付ける報道は、世論の情報操作と言っても過言ではありません。従って、もし当該報道をするのであれば、05年か06年の派遣会社及び請負会社各々の労災発生状況と、現在の派遣会社の労災発生状況とを比較し、実態に即した正しい報道を希望します。
◆派遣労働者を“悪人視”するな
 当該データ※1)を見ると、実際のところ派遣労働者の労働災害による(a)死亡者数及び(b)休業4日以上の死傷者数は、両者共に07年よりも08年の実数は減少しているのです。確かに、その他の産業と異なり、前述の事由を背景として近年の派遣労働者数が急増したのは事実です。しかしながら、死亡者数等の実数が多いのは問題視されますが、全労働者に対して、前掲(a)は2.4%、また(b)は4%という占率はどうなのかとの論議も重要です。勿論、労災発生は皆無が望ましいのであり、その減少に向けて日常の活動を強化すべきなのは毛頭否定するものではありません。但し、派遣労働者の労働災害の絶対数が多いことを根拠に、派遣会社を標的にして“悪人”と誤解を招くような報道は今後改めるべきと思います。
参考:※1)平成21年5月26日付「平成20年における死亡災害・重大災害発生状況等について」厚生労働省労働基準局公表資料。