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2009.04.03

「派遣切り」の行き着くところ

◆「抵触日」到来は今後半年間に集中
 所謂「労働者派遣法」※1)が制定されてから24年を経過するところですが、直近の公表資料※2)によると、派遣労働者数は「381万2,353人(対前年比18.7%増)」となりました。しかしながら、昨年の米国金融危機による世界同時不況の直撃を受け、わが国内企業は大幅減産に伴う所謂「派遣切り(非正規切り)」を敢行しており、厚生労働省調査結果(第5回:3/19時点)によれば、非正規労働者削減数(08/10~09/06:9ヵ月間)は「19万2,061人」と公表(3/31)※3)されたところです。所謂「2009年問題」は終了した訳でなく、あらゆる業種における「抵触日」のピークが今春から今秋にかけての半年以内に到来しますので、約20万人の派遣契約が終期を迎えることになると予測します。
◆“犯人探し”ならば不適
 過日放映(2/8)されたTV番組で、有名ジャーナリストが「労派法の原点の趣旨を理解することが重要」であると意見を述べていましたが、まさに同感です。前述のとおり、「派遣切り」による非正規雇用労働者の大量削減を醸し出している現実があるものの、当時に遡及し、労働者派遣法制定に最も係った人物(某国立大学名誉教授、旧労働省事務次官)を今さらながら“犯人扱い”することにメディア側の意図が潜んでいたとしたならば、視聴者である一国民の立場からは、全く不謹慎で不適の感を受けると言わざるを得ません。
◆特定派遣・長期雇用・請負化へシフト
 労働者派遣法改正案の国会審議は中断しており、「製造業まで派遣労働を適用するのはいかがなものか」との厚生労働大臣発言(1/5記者会見)は、ご本人の意に反し到底“個人的発言”とは受取られず、法改正による規制強化に依存する体質を露呈しました。しかしながら、労働者派遣制度見直しについては、「与党新雇用対策に関するプロジェクトチーム」の検討により派遣自体の全面禁止は見送る方針(1/15)が採られ、麻生首相は有識者会合(3/20)にて製造業派遣禁止に否定的考えを表明し、現在停滞中という状況です。大量の「派遣切り」が進行する現況下、今後は製造派遣等に代わり、特定労働者派遣事業(届出制)による常時雇用や長期雇用契約に切り替える企業が続出すると考えます。そして、それでも対応が難しい場合は「請負化」による体制整備に臨み、「請負化」が加速するものと予測します。
※1)労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律(昭和60年7月5日法律第88号)。
※2)「労働者派遣事業の平成19年度事業報告の集計結果について(平成21年1月23日付訂正版)」厚生労働省公表資料。
参考:※3)「非正規労働者の雇止め等の状況について(3月報告:速報)」平成21年3月31日付厚生労働省職業安定局公表資料。