メディア報道された「日雇い派遣」の実態

◆雇用変更で給付期間が半減
 過日のTVニュース報道は「雇用問題」をテーマに、この度の「派遣切り」に遭遇した地方在住で某大手自動車メーカーに勤務していた男性の元派遣労働者に焦点を当てていました。その元派遣労働者は、同社に長年勤務していたので雇用保険の失業手当は180日間給付されるものと信じていました。しかし、2度にわたる「期間従業員」への雇用変更で、「派遣切り」で解雇になった時は派遣労働者に移行して3ヵ月未満であった為、給付期間が半減した現実に愕然としたという経緯です。
◆平時に給付規定の確認を
 この実例は、解雇等により再就職の準備をする時間的余裕なく離職を余儀なくされた受給資格者(特定受給資格者)に該当しますが、雇用保険の基本手当の所定給付日数は、被保険者であった期間が1年未満の場合は年齢を問わず「90日」と規定されています。その元派遣労働者は、「当時これについての詳細説明は会社から無かった」と嘆き、再就職の面接に東奔西走している姿を映していました。
◆「日雇い派遣」へ流れ込む非正規労働失業者
 一方、同日のTVドキュメンタリー番組では、大量「派遣切り」に遭遇した人々が、収入を得るために「日雇い派遣」に流れ込んでいるという現実を報道していました。地方の某派遣会社によると、引越社、葬儀社、スーパー、廃棄物処理会社等で「日雇い派遣」需要が高まり、非正規労働失業者が流れ込んでいるのです。非正規労働失業者は一刻も早く収入を得たい為、職種選択をしている時間的余地も無く、時にはハードな肉体労働が待っていました。日雇い派遣生活は、文字通り「from hand to mouth」への「その日暮らし」で、自宅PCで仕事をネット検索する通信費用の捻出が困難という事由で、日夜ネットカフェへ通って「職探し」するという厳しい現実です。
◆ダミー会社を窓口に「禁止業務」へ派遣
 同ドキュメント番組では、労働者派遣法改正案が「30日以内の日雇い派遣原則禁止」を規定していることを踏まえ、今から同法の網目を掻い潜る悪質な派遣会社に突撃取材を敢行しました。その内容は、人材派遣許可が無効になった派遣会社が、有名無実のダミー会社(派遣無許可2社)を通じて日雇い派遣労働者を募集し、現法(同法第4条第1項第2号)で禁止されている「建設業務」※1)に派遣していたという手口です。取材メディアのディレクターが、その建設現場で働く日雇い派遣労働者本人にインタビューした結果、現場の建設会社の者から直接「指揮命令」を受けていたことが明らかになったのです。にもかかわらず、当該派遣会社社長は、あくまでも「これは請負だ」と断言し、所謂「逆ギレ」の態度をTVカメラに露呈したのです。
◆偽装請負会社の存在自体が「コンプラ違反」
 この事例で、当該派遣会社は30日以上の「請負」を建前としていましたが、その現実は日雇い派遣労働の1日以外すべて休暇扱いという「日雇い派遣」に過ぎません。前記のとおり、派遣された建設現場で直接「指揮命令」が行われていることに基づけば「労働者派遣」そのものであり、まさにこれが「偽装請負」です。このような「法の裏」を行く派遣会社が存在すること自体、「コンプライアンス違反」にほかありません。“即刻摘発を!”という思いです。
※1)土木、建築その他工作物の建設、改造、保存、修理、変更、破壊若しくは解体の作業又はこれらの作業の準備の作業に係る業務をいう。
参考:『労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律(昭和60年7月5日法律第88号)』。