大量「派遣切り」で「雇止め」監視強化へ

◆「派遣切り」で非正規労働者は減少か
 昨年の厚生労働省調査データ(2007年就業形態の多様化に関する調査)によると、労働者に占める非正規労働者の割合は37.8%で約4割弱まで増加しましたが、ここに来て「派遣切り」が社会問題化していますので、今後の雇用対策や景気動向如何では、この「派遣切り」が、5年後の次回調査結果に大きく影響を与えるものと推測します。
◆「通常就労者」&「選択就労者」
 この「非正規(雇用)」という言葉は「正規(雇用)」に相対するもので、これまでの規制緩和によって雇用形態が多様化した結果の産物ですが、「『非正規』の呼称に違和感を覚える」と言う見方(野村和史パソナソーシング社長)もあります。野村社長は続けて、その呼称を変えるなら、「正規社員を『(拘束力の強い)通常就労者』、非正規社員は『(自らの自由な意思で)選択就労者』と言い換えることもできるでしょう。(原文のまま。以下同様)」と主張されています。つまり、「少なくとも『非』という表現は、その就労者の多さとステータスに照らしても配慮すべきだ」と。確かに、就労形態は、個人生活の多様化と相俟って、パートタイム労働者、契約社員、派遣労働者等々と多様化してきた訳ですから、その就労者数の多寡にかかわらず、就労形態の呼称に冠の「非」が付くのは、改めて違和感を覚える今日となったように思います。
◆雇用態勢の重点監視化
 結局、「労働者派遣法改正案」は来年の通常国会で継続審議の見通しとなりましたが、優先法案がありますので、現段階で成立目途はまだ不透明と言わざるを得ない状況です。そして政府は、規制改革会議※1)で「第3次答申案」を決定する予定(12/22)で、雇用悪化に配慮して労働者保護や政策評価等に軸足を移すと見られており、雇用情勢に与える影響を監視すべきという観点に立脚していますので、今後はとくに「派遣切り」の実態を踏まえ、非正規労働者の雇用態勢が重点監視されるものと思います。
◆「派遣切り」は「2009年問題」解消手段か
 とりわけ有期労働契約は、期間に定めのある労働契約という点で不安定さを否めません。今年3月1日に施行された「労働契約法(平成19年12月5日法律第128号)」では、使用者は、「やむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができない。」と規定(同法第17条)しているにもかかわらず、この世界金融危機直撃の結果、大手メーカー等多くの企業がこぞって「派遣切り」を実施しています。この急減速の世界同時不況がすぐに立ち直るとは到底考えられず、当面、年度末までは大量の「派遣切り」が続くものと見込まれています。そして、この「派遣切り」を大義名分とし、所謂「2009年問題」はどこかへ吹き飛ばされたという感は否めません。従って、非正規労働者保護の観点に立脚すれば、「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準(平成15年厚生労働省告示第357号)」が策定され、この基準に関し、行政官庁は「使用者に対し、必要な助言及び指導を行うことができる(労働基準法第14条第2項、第3項)」こととされていますので、今後は、使用者に対して、より一層厳格な対応が求められるものと考えます。
※1)民間有識者15名の委員(議長:草刈隆郎日本郵船(株)代表取締役会長)で構成され、内閣府に設置(2007年1月)。
参考:内閣府公表資料。「人材ビジネス11月号(通巻268号)」(株)オピニオン。