派遣会社による管理代行(直接雇用)は“偽装雇用”になりかねない

◆「09年問題」直前に「適切な対応」の要請
 「労働者派遣法改正案(厚生労働省作成)」は閣議決定(11/4)されましたが、当該法案の今国会での成立見通しは、衆議院解散・総選挙の時期如何も相俟って、野党の協力次第と予測されます。そして、2009年を目前としたこの段階で、厚生労働省は、「いわゆる『2009年問題』への対応について」と題する「通達(職発第0926001号:2008年9月26日付)」を全国都道府県労働局長宛に通知し、職業安定局から派遣先となる経営者団体及び労働者派遣や請負を行う事業主団体に対して、適切な対応及び会員企業への周知要請の文書が発出されました。
◆所謂「飛び石」派遣は不可
 ここで改めて、メーカー等企業から派遣元事業主へ管理業務を委託(管理代行)する上での問題点を考察するにあたり、各派遣会社が留意しておかなければならない点を以下に記載します。それは、派遣会社による(1)「社員寮や社宅の管理」、(2)「勤務時の社員送迎」、(3)「社員の給与計算」等の管理業務について、派遣会社が委託できるか否かについてです。まず、直接雇用後に再び派遣に戻ることはないというのが大前提であり、雇用管理という観点からは、所謂「『飛び石』派遣(3か月のクーリング期間経過後の再派遣)」は労働者供給事業に該当する(職業安定法第44条違反)と判断され、この「再派遣契約の約束が無いこと」がすべてであると考えられます。
◆社員寮等や社員送迎の強制は不可
 従って、(1)について、社員寮及び社宅の管理において、利用はあくまで社員の自由で強制は不可であると考えられます。但し、社員を起床させる行為は、契約書に明文化しておけばサービスといえるとの見解(都道府県労働局)です。同様の観点から、(2)について、社員寮から会社または工場まで往復の通勤手段としての送迎サービスは可能だが、利用を強制すれば雇用管理に踏み込むことに繋がるので不可です。また、(3)については、直接雇用企業からの給与支払いが前提であれば、その他、とくに問題は発生しないと考えられます。
◆強制的管理代行は“偽装雇用”の疑い
 総括すると、メーカー等企業が、派遣労働者に直接雇用の申込みを実施すること。その場合、直接雇用を従前の派遣賃金よりも低賃金で勧誘(誘導)しないことに留意が必要です。要するに、直接雇用契約締結にあたり、強制力が働く要素を除去すべきであり、直接雇用の対象となる派遣労働者個人の自由意思に基づく結果として旧派遣先と雇用契約を締結する場合に限定されるべきものであり、あくまでも派遣労働者個人の意思を尊重することが、何よりも肝要と考えられます。従って、以上の点から、派遣会社が管理代行を実施する場合、強制力を持って臨むことは“偽装雇用”になりかねないといえるので、改めて態勢整備に留意してください。
参考:厚生労働省都道府県労働局ヒアリング。