派遣先及び派遣元事業主の適正な雇用管理について

◆東大「寄付研究部門」は時限設置
 この「人材ビジネス研究寄付研究部門」※1)は、東京大学社会科学研究所にある研究部門です。当部門は、国内最大手人材派遣会社の奨学寄付金に基づき、3年間時限で設置(2004年4月)された研究部門で、昨年4月に更新(2010年3月まで有効)されました。当部門の研究課題は、①企業の人材活用の現状と課題を論理的かつ実証的に明らかにすること、また、②その研究成果をもとに、企業の人材活用ニーズを充足するうえで人材ビジネスに求められる経営戦略及び人事戦略上の課題を検討することとされています。
◆受賞論文のご紹介
 この度、当該部門のメンバーである島貫智行氏(山梨学院大学現代ビジネス学部専任講師)※2)は、部門の調査研究成果によって、独立行政法人労働政策研究・研修機構の「平成20年度(第9回)労働関係優秀論文賞」を受賞されました。受賞論文は「派遣労働者の人事管理と労働意欲」(日本労働研究雑誌566号掲載:同機構)で、「本論では、わが国の登録型派遣の中心である事務系職種の派遣労働者を取り上げて、派遣先と派遣元による人事管理のありかた」の検討と、「派遣先と派遣元の人事管理が派遣労働者の労働意欲に与える影響(鍵括弧内は原文のまま)」について統計的に検討されています。このように、大学でも派遣先及び派遣元事業主に係る人事管理のあり方等について研究されています。尚、当ブログ記事において、当該論文の詳細は割愛させていただきますのでご了承願います。
◆労働者派遣で刮目すべき点
 さて、前掲論文で着眼され、また、これまで当ブログ記事でも掲載してきましたが、派遣先及び派遣元事業主が講ずべき措置等、人事管理の在り方で刮目すべき3点を以下に列記します。それは、(1)派遣労働者は、自己スキルをブラッシュアップする機会を持てるのか。そして、機会がある場合その取り組み姿勢はどうか。また、機会が無い場合でも取り組む意思はあるか。(2)派遣先企業では、労働安全衛生に係る事前教育は当然実施されているものと思いますが、派遣労働者に対する就業直前に係る留意事項の指示のみならず、基本的教育訓練は実施されているか。他方、(3)派遣元企業は、単に派遣労働者を派遣するに留まらず、雇用責任をきちんと果たしているか。また、派遣労働者に対する教育態勢は万全か等、が挙げられます。
◆現実課題に実効性ある態勢構築を
 厚生労働省は「労働者派遣法改正案」を作成し、閣議決定(11/4日付)されたところですが、すでに派遣先責任者の職務は規定(労働者派遣法第41条)され、また、「派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針」も告示(厚生労働省)されていますので、これら指針等の内容が確実に実行され、前掲の現実課題に対して実効性ある態勢構築を希求する次第です。尚、諸課題については、今後の当ブログ記事で考察していきたいと考えております。
※1)寄付研究部門は、奨学を目的とする民間等からの寄付金を有効に活用し、大学等の教育研究の活性化を図るため、設置運営されています。
※2)主な論文:「派遣労働者の人材マネジメントの課題」(日本労働研究雑誌№526)等。
参考:東京大学HP社会科学研究所公表資料。