厚労省調査結果「派遣労働者の労災急増」について          (請負シリーズ22)

◆労災増加要因は「製造派遣解禁」
 厚生労働省が実施した全国調査結果で、派遣労働者の労働災害が、製造業への派遣解禁年(平成16年)の被災者667人から5,885人(平成19年)へと約8.8倍に急増したと公表されました。この被災派遣労働者の対全労働者占率は、0.5%(平成16年:1・2月は未集計)から4.8%(平成19年)に増加しています。確かに、製造業への派遣解禁の結果、その占率増加は予測できたものと思います。
◆死傷者数トップは「製造業」
 と言うのは、同調査結果の業種別死傷者数(全体3,958人)をみると、(1)「製造業2,703人(約68.3%)」、(2)「運輸交通業316人(約8%))、(3)「商業308人(約7.8%)」順に多いのですが、業種別死傷者数(実数・占率とも)で製造業が第1位を占めたのは今日始まった訳ではないからです。即ち、製造業においては機械による労働災害の発生状況の割合が高いので、その安全対策を進めるために、すでに(a)「機械の包括的な安全基準に関する指針(平成13年)」が公表され、(b)「『労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)』等の一部を改正する法律(平成17年法律第108号)」が施行(平成18年4月1日)されてから、(c)「製造業における元方事業者による総合的な安全衛生管理のための指針(平成18年8月1日。基発第0801010号)」が策定されてきたのです。
◆請負から「派遣労働者へ移行」
 実際のところ、製造業への派遣が解禁された平成16年時点の製造業の請負労働者数※1)は、「48万9,234人(平成8年)」から「81万2,060人(平成16年)」へと約1.7倍に増加し、それ以降、派遣解禁による移行によって製造業における派遣労働者数が増加した訳ですが、今回の調査結果では当該移行数値は示されていません。また、同調査では、製造業についての経験年数で「1ヶ月以上3ヶ月未満」が28.7%と最多、また、「年代は30歳代」が29.0%で最多と、若者層の被災が目立ったことも公表されましたが、機械に携わる専門的技術を要する作業は、熟練者と比較すれば、自ずと経験年数が浅い労働者が被災する可能性は高いのではないかと推察します。
◆安全教育と適正な労働環境の整備を
 従って、労災事故発生増加に関して、製造業における派遣労働者の増加を非難するのではなく、種々の機械設備使用による不慮の事故に遭遇する可能性の高い職場においては、とくに経験の浅い未熟な派遣労働者の安全を保護する観点から、これまで以上の「労働安全教育や対策が必要」であり、また、製造業の請負事業者との混成・混在職場においては、「適正な労働環境の整備」がより一層求められるものと考えます。
※1)製造業の請負労働者数推移(事業所・企業統計調査):総務省。
参考:「平成19年における労働災害発生状況(確定)」厚生労働省労働基準局公表資料。日本経済・読売各紙記事等。