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2011.05.21

★放射線量計 メルトダウン 燃料棒 “放射線授業”が始まった

◆「放射線量計」は“人気ブログ記事”

 弊社が発行・運営する当『人事総務部ブログ』のリニューアル(11/3/14)を機に、当該サイト内に『人気記事TOP10』を常時表示していますが、「放射線量計」等のご案内記事を掲載※したところ、当該記事がなんと“第3位(5月17日現在)”に君臨しているではありませんか。日常生活の中で「放射線量計」が活用されることを懸念していた発信者としては、この現実に些か驚嘆させられているところです。

◆体育授業は「校舎のローカ」等で

 しかし、残念ながら、「放射線量計」が突如脚光を浴びることになった事情を鑑みると、なんともやりきれない気持ちに浸ります。と言うのも、東日本大震災に伴い、「福島第一原発(東京電力)」の爆発による火災事故勃発で“放射能汚染”が拡大し、未だ収束されない現実に直面しているからです。ご承知のとおり、農作物や原乳は勿論のこと、当該原発から放射能汚染水の海への故意及び不可避的流出により、魚類や海産物に至るまで汚染されてしまったのです。汚染は食物にとどまらず、更に原発周辺地域の小学校等の校庭の土にまで拡大し、児童・生徒らが運動場で遊べないだけでなく、体育の授業で「馬飛び」や「ランニング」は“校舎内のローカ”で、また、運動会は“教室内”で実施されているという現実なのです。

◆理解には「専門知識」が必要

 福島県内の幼稚園・保育園を含めた小中学校13施設(対象:3,500人)の屋外活動(想定8時間)について、「許容される被曝量は3.8マイクロシーベルト/h」と算出された『安全基準(文科省・厚労省)』が公表(4/19)されました。実際、過日の小佐古敏荘氏(コサコトシソウ:東大大学院教授)の“涙の辞任(内閣官房参与)会見”の実情を、私はすぐに理解できないでいました。同教授によれば、国が学校での被曝線量を「年間20ミリシーベルト以下」としたことへの疑問が背景にあった訳ですが、放射能等の専門知識の無い私としては、前記「3.8マイクロシーベルト/h」と「年間20ミリシーベルト以下」との関係を換算して考えなければならず、詳細説明が無いと正しく理解できないという有様です。

◆読者になじみの無い「専門用語」

 ただ、この度の「福島第一原発」事故勃発を契機に、私自身も原発に関わる「専門用語」や「原子炉の内部構造」等の知識が増えたのは確かに事実です。唐突ながら、『新s(あらたにす:日経・朝日・読売3紙よみくらべサイト)』のコラム(11/5/17日付)『迅速な公表 用語の説明を』では、新聞案内人の古城佳子氏(コジョウヨシコ:東京大学大学院総合文化研究科教授)は次のように述べておられます。つまり、《原子力事故を報道する際の用語の定義は読者にはほとんどなじみがなく、「メルトダウン」などの用語が一人歩きし、現状とは異なる認識をもたらす危険性すらある。》と。このご発言の根拠には、当該サイトを運営する読売・朝日・日経の3紙記事において、《炉心溶融の始まった時期についての報道が異なって》いたという事実に基づいています。即ち、前記各紙は、津波から炉心溶融が始まった東京電力の報道について、それぞれ「4時間後」、「5時間半後」、「約5時間後」と、異なった報道がなされたからです。その差異について、古城教授は、《炉心溶融が始まったというのも、どのような状況を開始段階と見るかが異なっているのだろう。》と述べられています。

◆誤解していた「メルトダウン」
 古城教授が例に挙げられた前掲の「メルトダウン」については、私はTV報道で岡本孝司教授(オカモトコウジ:東京大学大学院)の解説を視聴したにもかかわらず、私は「原子炉内の燃料棒が溶融後、圧力容器の底に穴が開いて格納容器に流出すること」であると誤解していたのが判りました。そこで、改めて『原子力防災用語集(経済産業省原子力安全・保安院HP)』で調べると、「メルトダウン」の記載は無く、「炉心溶融」の文言で記載されていました。その意味は、《原子炉の炉心の冷却が不十分な状態が続き、あるいは炉心の異常な出力上昇により、炉心温度が上昇し、燃料溶融に至る事故。》とありました。また、同サイト内の『原子力百科事典』も、全く同内容の記載(98年1月)でした。単純に辞典(新英和中辞典:研究社)で「meltdown」の意味を調べて見ても「<金属を>溶かす」とありますので、拙い知識でお恥ずかしい限りですが、「メルトダウン」は、「溶けた燃料棒が原子炉下部に落ちる」ものと自己の理解を改めた次第です。

◆学習に役立つ「新聞記事」
 TV報道で解説を視聴しても、原発関連の専門用語等の理解を知識として頭の中に残すには、やはり身近な「新聞記事」の解説が役立っていることは否めません。例えば、前掲の「燃料棒」は、セラミック状のウラン燃料(高さ約1cm/直径約1cm:ペレット)が、セ氏3,000度近い高温に耐えるジルコニウム合金製の被覆管(厚さ:約0.8mm)に入れられた構造で、それが《複数本束ねた燃料集合体が、原子炉の圧力容器内に並んでいる。》等という解説記事でよく理解できると思います。勿論、文系出身の私は、前記「ジルコニウム合金」を調べなくては、まだ完全理解に至らないのですが・・。

◆中学3年で学習する“放射線授業”
 そこで、小学校は今年度(平成23年4月)から、中学校は来年度(平成24年4月)より全面実施される『新学習指導要領・生きる力(文部科学省)』に関して、『中学校学習指導要領解説理科編(同省)』を参照すると、中学校3年生の理科(第1分野)で《放射線の性質と利用にも触れること。》と明記されており、“放射線授業”が実施されます。該当箇所は、「(7)科学技術と人間/ア エネルギー/(イ)エネルギー資源」の項目で、その内容を抜粋(原文のまま)すると、《原子力発電ではウランなどの核燃料からエネルギーを取り出していること、核燃料は放射線を出していることや放射線は自然界にも存在すること、放射線は透過性などをもち、医療や製造業などで利用されていることなどにも触れる。》とあります。

◆「放射線量計」は必須携帯アイテム?
 過日のTV報道で、確か小学校の生徒だったと記憶していますが、「放射線量計」が配付され、体育館内や運動場で放射線量を測定している授業風景の一部を視聴しました。マスコミ報道によれば、東日本大震災の発生以前より、すでに放射線授業を実施している都内の中学校も存在しているようです。震災後、日本経済新聞には『各地の最大放射線量』が毎日掲載されており、当ブログのサイト内にも、『全国の放射能濃度一覧』を常時表示しています。毎日の天気予報のごとく、昨日までの放射線量の数値結果を意識するようになったのは私だけではないであろうと邪推しています。「歩数計」に代えて、果たして、“「放射線量計」は必須携帯アイテム”という時代を迎えたのでしょうか? 折しも、福島県は、県内約1,200の小中高校と幼稚園すべてに線量計を配布することを決め(5/19)、担任教諭らが装着して、下校時までの積算線量と累積時間を測定し、文部科学省に定期報告する予定とのマスコミ報道がありました。少子高齢社会の只中に置かれているわが日本において、子どもらの安全・安心な生活と成長をただひたすら願うばかりです。
【ご参照】
※ブログ記事(11/3/25日付)
 :『東日本大震災 原発事故 「放射線量計」等のご案内』。
【資料】経済産業省原子力安全・保安院公表資料。文部科学省公表資料。独立行政法人日本原子力研究開発機構公表資料。大手3紙よみくらべ合同サイト『新s(あらたにす)』。各紙等。