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2009.06.19

帰宅困難者として生き残るべく「安全ルート」とは

◆都心で約650万人の「帰宅困難者」が発生する

 「平成20年(2008年)岩手・宮城内陸地震」から1年が経過(6/14)し、行方不明者の捜索が再開されました。“災害は忘れた頃にやって来る”と言われますが、50~100年周期で到来する大地震に対して、日常茶飯事に発生している交通事故と同様に、大地震等を日常意識して生活を送るのは難しいことかもしれません。
 ご承知のとおり、冒頭の「岩手・宮城内陸地震」は“山体崩壊”を伴う大地震(最大震度6強、M7.2)でしたが、とりわけ大都市を擁する首都圏を中心とした「直下型大地震」が発生した場合は“大パニック”を引き起こし、最大約650万人の「帰宅困難者」※1)が発生するものと予測されています。と言うのは、都心では《震災直後、最低3日間は交通機関や救援・復旧体制が整わない》ため、会社等に勤務している人々は自宅まで徒歩で帰らなければならなくなり、予想以上の大きな困難に直面すると予測されているからです。

◆帰宅困難者をサポートする「安全ルート」

 そこで、全国の各地方自治体の防災計画等では、「帰宅困難者」を支援すべく実際の道路情報が示されています。また、インターネットの「帰宅支援マップサービス」で検索できますし、『震災時帰宅支援・避難マップ(携帯サイズの冊子)』※2)が市販されていますので、自分の勤務する会社から自宅までの“安全ルート(帰宅支援対象道路)”を事前に確認しておくことが第一に重要です。
 では、指定されたそのルートがなぜ安全なのかと言うと、そのルート上にある「コンビニエンスストア(CVS)」や「ガソリンスタンド」、また、「広大な敷地や大アトリウムを擁する大企業の建物」が、災害発生時には“安全・救援地帯(帰宅支援ステーション)”になるよう準備されているからです。具体的には、《帰宅困難者へ食料品、飲料水、トイレの貸し出し、被災時の情報、休憩スペース、手足を洗う水道水、災害伝言ダイヤル(171)の提供》等が可能となるからです。最近のマスコミ報道(6/9)では、《民間企業が地方自治体の発信する災害情報(災害地図等)を、CVS店頭の電子看板付コピー機に随時配信する事業》が推進される動きもあり、今後の展開が待たれます。
 首都圏通勤のサラリーマンは、大災害の発生を待つまでもなく、これまで通勤・帰宅時に発生した所謂“ゲリラ豪雨”や鉄道トラブル等でパニックに遭遇した経験がある人も少なくないと推測します。しかし、大災害となれば、それ以上の大混乱が待ち受けることになります。従って、「自分だけは交通事故に遭わない」と安易に考えている人は、尚更、大災害についても同様の思いが強いのではないかと邪推しますので、この際、そういう甘い考えは払拭しておくことが賢明と思います。

◆検証のため「安全ルート」の徒歩敢行

 では、実際にどのくらい歩くことになるかというと、《自宅からの距離が10km以上あると帰宅困難が発生する》といわれています。関係資料には《果たして出勤後の状況で10km歩けるでしょうか?10kmが自身にとってどれくらいの負担になるか考えておきましょう》と記載されているだけですが、頭で考えるだけでは実感が湧きません。そこで、検証すべく実際に「安全ルート」を歩いてみたのです。個人的には現在の自宅と会社間の距離は近くて対象にならない為、過日の日曜日の午後(晴天)、敢えて自宅から「安全ルート」往復約14㎞※3)の徒歩に挑みました。私服・手ぶらの軽装で「安全ルート」を歩いた結果、総歩数2万130歩、約5時間(正確には4時間50分)を要しました。これは競歩のようではなく、普通の速さで歩いた結果です。蛇足ながら、私は幸いメタボとは無縁で、学生時代はワンダーフォーゲルクラブで登山をしていましたので、歩くことには少しだけ自信過剰の嫌いはありました。

◆自宅までの「安全ルート」の事前確認を

 都心のメインストリート(この道は指定の「安全ルート」のひとつですが)を約5時間歩き続け、(a)汗ダクになり、(b)喉が渇き、(c)トイレに2回立ち寄り、(d)数分間の休憩で2回喫煙し、(e)足が痛くなったという実証結果で、“歩き疲れた”というのが本音です。沿道にCVSや地下鉄駅等が有る「安全ルート」は、こうした私の苦痛を解消してくれました。但し、災害発生時のリスクを回避する為、「帰宅可否判断は会社指示に従う」という自社防災計画を設けている会社もあろうかと思います。しかし、最終的には《自主的な対策と判断を求められる》ことを想定し、災害時に「帰宅経路の選択」に戸惑うことのないよう、自分自身にとっての「安全ルート」を事前確認しておくことは“生き残る”ための岐路になるかもしれません。“備えあれば、憂い無し”です。
※1)《震災、台風、集中豪雨等の災害発生時、あらゆる交通機関がマヒして自宅へ帰宅できなくなる人々のことをいう》:帰宅困難者対策情報センター公表資料。
※3)歩数計で歩幅:70cmと設定×総歩数:20,130歩=総歩行距離:14,091m=約14km。
参考:※2)『震災時帰宅支援・避難マップ(2006年発行):昭文社』。帰宅困難者対策情報センター公表資料。気象庁公表資料。日本経済新聞記事。

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